夏のどんだけとケメ子(1)
文庫本を忍ばせて旅に出た。ジャケットの中に風が通り、坂を下る。そう相棒の自転車が僕を急かしたんだ。父さんが買ってくれた。お祖父ちゃん家までそう遠くない。
妹の誕生日だという友人のパーティーに誘われたが、お祖母ちゃんのカレーには勝てないみたいだ。どんだけ。・・・。
その友達は僕が「どんだけ」の使い方を間違っているという。どんだけ。どんだけやってみても死んだ人は生き返えらないよ、どんだけ。どんだけ、どんだけ、どんだけ・・・。
ききいっ!
「あぶないじゃないかっー!」
えっ!女の子?
「ごめん・・・さがしてたの・・・」
「えっ!?何・を?」